少なくとも車道側に犬を繋ぐのは事故の原因になる。
早急になんとかしなければならなかった。
その時、人ごみの向こうから、ひとりの悪人がやって来た。
悪人というか、そう見える人だ。
シカゴギャングみたいな帽子を斜めに被り、サングラスをかけ、
いかにもといった派手ハデなシャツを着た悪党系の男。
その男はキャバクラで、私の前で立ち止まると、犬をじっと見つめていた。 飼い主ではないらしい。
「飼い主が、近くに居ないんですよね。」
私はその男に声をかけた。
赤の他人に突然声をかけるのはどうかと思ったが、
こんな悪党に(笑)礼儀を守る必要もないだろう。
すると男がすぐに応えた
「こんなとこに繋いじゃだめだろうに。」
「ですね。あと、水分を与えないと、ノビちゃいますよ。」
うーん、と男は唸った。
ちなみに私はバイクで会場まで来ていた関係で、
ライダージャケットにジーンズ、グローブにサングラスといった
特撮ヒーロー物の「悪い方」な井出達だった。
つまり悪人がふたり立っていたのだ。